原作者であり、昭和を代表する文豪・井上靖氏の命日である1月29日(日)、故郷・静岡県伊豆市湯ヶ島で、氏を追悼する「あすなろ忌」が行われました。

会場には、井上氏の実の家族の皆さんが集まり、井上氏の墓前で『わが母の記』への思いを語りました。

■井上靖追悼 「あすなろ忌」概要
【実施日】1月29日(日) ~井上靖氏の命日~
【場所】伊豆・湯ヶ島(墓所:熊野山墓地)
【実施内容】感想文発表・表彰式(朗読会:天城会館)

家族や所縁の人々、地元の関係者が集まり、湯ヶ島・熊野山墓地にある井上靖氏の墓地を目指しました。

湯ヶ島は井上靖が少年時代に両親と離れ、戸籍上の祖母・かのと暮らした土地。
井上靖氏の両親も晩年は湯ヶ島で過ごし、自身も郷土として生涯にわたって慕った地でもあります。

この日はあいにくの雪となりましたが、しろばんば(湯ヶ島を舞台にした小説『しろばんば』で描かれる白い虫)が飛ぶのはちょうど冬ということで、井上文学のファンの心をくすぐる情景となりました。

井上家からは長男の井上修一氏、次男の卓也氏、次女の黒田佳子氏が参加。修一氏は墓前で
「すぐ怒る父で、その理由は子供たちにもわからなかった。今日の雪もそんな父らしく感じます」
と挨拶。

同地でもロケが行われた映画『わが母の記』に触れ、
「父親がこの湯ヶ島を舞台にして、母親の老耄を描いた「わが母の記」が映画になりました。ロケ地は世田谷の家とこの湯ヶ島、沼津と軽井沢、この(墓地のある)熊野山も使われました。父親役の役所広司さんはなかなか上手な俳優さんで、父親の難しいところをとっても似せて演技してくださいました。沼津の風景や熊野山の歩いて登る道も全て映画で綺麗に撮られています。ぜひご覧ください」
と話してくださいました。

「この1年、父親にとっては、家が(旭川へ)移築されたり、映画になったり芝居になったり(中谷美紀主演『猟銃』)、天国でも忙しかったと思います。賑やかなことが好きだった父は喜んでいると思います」
と、父への想いを語りました。

あすなろ忌
*雪のちらつく命日に墓前にて

その後、天城会館では靖少年が食べた味を再現・改良した「おかのばあさんのカレー」がふるまわれ、小中高校生による読書感想文発表とコンクール表彰式、語り部・平野啓子氏による朗読会が行われました。

映画を見た関係者からは
「素晴らしい映画を作っていただき、ありがとうございます」
と感謝の声も聞こえ、4月の全国公開への期待の高さがうかがえる催しとなりました。


◆『わが母の記』 4月28日(土)公開
http://www.wagahaha.jp/
 
2012-01-30 (月) 18:32 / Top↑